本部通信 2025年6月

阿弥陀如来が家に来た

 相続した三河の実家を昨年1月に解体し宅地を売却しました(詳しくは2024年2月本部通信参照) 。本文はその後のことです。

 実家を片付け、お内仏を含めほとんどの物を廃棄しましたが、本尊阿弥陀如来、親鸞聖人と蓮如上人の絵像を自宅に持ち帰りました。大きなリピングポードにはかってテレビを設置していましたが、大型の液晶テレビは置けなくなったので、その空間に阿弥陀さんの絵像を安置し、花瓶に仏花を生け、そこが我が家のお内仏となりました。仏壇の中の阿弥陀さんでなくリビングポードの内の阿弥陀さん、まさにお内仏です。昭和~平成の中頃までは居間の主役はブラウン管テレビでした。テレビを囲んでの一家団欒、思い出す方も多いかと思います。それが今、テレビが安価になり各部屋に置かれ、主役の座を降りました。

 それまで自宅では朝夕のお勤めをせず、真宗会館で週1回の日曜礼拝で正信偈を称えるだけ。実家に帰省してお内仏の前で寝起きしていてもお勤めをするのはせいぜい1~2回。聞法するだけの真宗門徒でした。
 
 さすがに廃棄することはできなかった阿弥陀さん、親鸞さん、蓮如さんを埼玉の自宅に迎えることで、それまでしていなかった朝夕(実際は朝食後、夕食後)のお勤めを毎日するようになりました。一度習慣になりますとお勤めをしないと何か後ろめたいような、またしないと妻に「お勤めしないの」と促されるようになりました。私においてのこの1年で一番変わったことです。
 
 さて、話は変わります。2024年度総会で議決された実践項目に、1)念仏の教えに生きる①毎日、朝夕のお勤め②聞法会に足を運ぶ③いろんな聞法会との交流、 2)聞法会への参加の呼びかけ、3)家族と一緒にお参り、とあります(文言を一部省略) 。これらは個人として実践することであり、同朋会運動が目指していることだと思います。我が家に阿弥陀さんが来たことは、阿弥陀仏の還相回向であり、同朋会運動の実践は往相回向と捉えています。私が自分(自力)で思いつき実践出来たとは思えません。子供の頃に母の実家でお祖父さんがお内仏の前でお勤めする姿。実家の前の東海道を乳母車を押す背中の曲がった親戚のお婆さんが嬉しそうに報恩講に向かう姿。それらは私にとっての阿弥陀さんの回向と思えてしまいます。

南無阿弥陀仏  釋英證(稲垣英昭)